伝え人の物語

024

伊藤晴信(いとう はるのぶ)

墨匠

工芸名
鈴鹿市 鈴鹿墨
地域
北勢
  • ファッション
  • 文具
  • その他

「守る伝統、破る伝統」

Q:進誠堂の歴史についておきかせください

A:進誠堂は、曽祖父の時代から墨を作り始め、約50年目墨を作り続けています。鈴鹿の寺家地域で墨を作り始めたのは、うちが最後だったようです。

当時は寺家地域で12件は墨を作っているところがあったようで、古い資料では25件くらいという記録もあるようです。僕が始めた時は3件しかなかったので、どのような様子だったかは詳しく解らないですね。7年前に2件のうちのもう一件が廃業し、今は弊社一件しか残っていません。

江戸時代は白子の町は紀州藩の飛び地だったので、良質の煤の産地である紀州から墨の材料を運び、墨作りの伝統がある白子で墨をつくり、白子の海から全国へ輸送していたようです。今でも材料の煤は和歌山から取り寄せています。

Q:技術的・特徴など

A:地理的及び気候風土の諸条件に恵まれており、発墨が実によく、紙や絹への定着度が高く上品で厚みのあり、基線とにじみが見事に調和した書き味です

奈良墨は、分業で機械づくりとして発展し墨汁の大量生産産業として栄ましたが、伝統の製法は失ってしまいました、鈴鹿墨はすべての工程を今も手作りで行い、その製法を100年間以上変えていないので唯一伝統工芸として残っています。

一人ですべての作業工程をおこない、営業も職人がやるので、斬新で新しい商品が開発できていると思います。

色の墨は、10年前に父が開発しました。11色あります。

真珠などの粉を加えたラメの墨もあります。墨のアロマキャンドル、墨の香り袋など墨の原料として使用していた香料(りゅうのう樹)を活かした商品も開発しています。

Q:漫画の世界から伝統工芸へ(伝統を引き継ぐこと)

A:鈴鹿墨の工芸師の家に生まれましたが、高校卒業後、漫画の勉強をしてアシスタントとして働いていました。四年目の2009年の夏頃、伊勢新聞の「鈴鹿の墨の1200年の伝統が途絶える」といった内容の記事を目にして、家業である墨作りを意識し始めました。伝統を引き継ぐというより、父の仕事に興味が湧いたという感じです。

半年悩んだ末に、2010年の1月から鈴鹿墨の製造を始めました。今自分には、伝統を守るという意識は強くないです。自然に職業として継ぎました。

Q:守る伝統、破る伝統

A:今、墨をシルクスクリーン用のインクにしてTシャツを作ったりしています。

書道にこだわらず、書道以外のところでも挑戦していきたいと思っています。

小学校で特別授業に参加させて頂いた時に、生徒が使っている書道用具を見せて頂き、プラスティックの硯・墨汁と外国製の筆を使って授業が行われていることを知りました。

折角地域に素晴らしい工芸品があるので、地元のものを使ってほしいという思いと子供の頃から本物に親しんで貰いたいという気持ちで、学校用のセットを開発しました。

子供達は、伝統よりキャラクターの入ったセットを好むのですが、なんとか本物を使ってほしいので、1分ですれる墨も開発しました。

Q:海外への取り組み

A:中国の書道の展示会には出店しています。

漢字のある所、アジアを中心に台湾・香港なども広げたいと考えています。

墨を使う文化のある海外には、今後も継続して紹介していく予定です。

伝統工芸品

007_sumi
雪月風花8色セット
011_s
SUZUKA
007_sumi_s
鈴鹿墨1
016_s
鈴鹿墨2
店名
有限会社 進誠堂
事業内容
墨の製造、販売
代表者
伊藤 忠
所在地
〒510-0254
三重県鈴鹿市寺家5丁目5番15号
電話
059-388-4053
FAX
059-386-4180
営業時間
9:00 ~ 16:30
定休日
日曜・年末年始12/30、31・1/1、2、3 夏期休暇8/13、14、15
(その他都合によりお休み頂く場合がありますのでご了承下さい。)
URL
http://www.suzukazumi.co.jp
アクセス
近鉄名古屋線 「鼓ヶ浦」駅より、徒歩5分
近鉄名古屋線 「白子」駅より、徒歩15分(こちらは特急停車)